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2014年も既に2ヶ月が過ぎ去ろうとしておりますが、
今更2013年にリリースされた新譜の総括を勝手にさせて頂きたいと思います。
リスナーとして気に入ったものをチョイスする記事は沢山ありますが、
現役作曲家の視点から作曲やDTMで楽曲制作を嗜む人が参考になるような、
ある種の革新性をもった音楽的手法を携えたアルバムをチョイスしてみました。
2013年も順調にCD枚数に換算して1000枚以上の音源を聞き漁りましたので、
どなたかのお役に立てばいいかな、と。
なお、アフィの使用はジャケ掲載のための苦肉の策です。
動画埋め込みに関しては著作権管理団体と契約していない都合上リンクのみとさせて頂きます。
その辺のことに関してはコチラの記事をご参照下さい。
【1枚目】Justin Timberlake「The 20/20 Experience」
Justin Timberlake – The 20/20 Experience
YouTubeリンク:Justin Timberlake – Suit & Tie (Official) ft. JAY Z
全面Timbalandによるプロデュース。
私的には2013年一番影響を受けたアルバムです。
とにかくトラックが凄いの一言に尽きます。
EDM全盛の中でこのチルな雰囲気と柔らかい空間の演出は驚愕です。
自分が楽曲制作することをイメージしながらトラックを聞くと、
どうやったらこんな発想が浮かぶのか毎度溜息が出る程です。
ちなみに続編があり結果的に2枚組のリリースということみたいですね。
【2枚目】Daft Punk「Random Access Memories」
Daft Punk – Random Access Memories
YouTubeリンク:DaftPunk – Get Lucky
ファレル・ウィリアムスとナイル・ロジャースのfeatなんて霞むくらいに
世界中がびっくりしたのではないでしょうか。
手法としては完全に70年代のディスコファンクやフュージョンです。
日本で言えば坂本龍一さんのKAKUTOUGI SESSIONが真っ先に浮かぶような。
ではなぜ今の時代に通用したのか。
それは、ボトム(ドラムとベース)の音作りがしっかりと2013年を踏襲しているからです。
それまでの音楽を引っ繰り返した01年の「Discovery」のような影響は後続に与えられるのでしょうか。
恐らくこのアルバムの価値は数年後~10数年後に判明するのでしょう。
【3枚目】Kanye West「Yeezus」
YouTubeリンク:Kanye West – On Sight
他の曲も勿論凄いのですがこのアルバムは1曲目の「On Sight」に尽きます。
Rolandの名機TB-303で遊んでいたらできちゃったようなトラックに、
KanyeのRAPが強烈に乗っかっていきます。
自分的には2013年のナンバーワンチューンではありますが、
ジャンルとして成り立つかといえばフォロワー達が容易に再現できるかというところでいささか疑問が。
新しいジャンルとして広がるには「今まで誰も思いつかなかった」且つ「誰でも再現できる」汎用性が必要です。
しかし、ぶっ飛んでいるという表現がぴったりな凄まじいアルバムですね。
【4枚目】Cathedral「Last Spire」
YouTubeリンク:Cathedral “Tower of Silence”
残念ながらこれが解散ラストアルバム。
しかし出し切ったとも言うべき凄まじいドゥームメタルになっています。
肝は全編に渡って展開するドラムのレイドバック感です。
随所に「耐える」ビートが炸裂し他のヘヴィメタルとは一線を画します。
ストーナーの文化は日本では派生しないのでイマイチ流行らないジャンルですが、
そうしたものを抜きにしてもこの作品は素晴らし過ぎる。
2013年はBlack Sabbathの新譜等ドゥームの当たり年でもありました。
【5枚目】Icona Pop「This Is… Icona Pop」
Icona Pop – This Is… Icona Pop
YouTubeリンク:Icona Pop – I Love It
リード曲は自体は2012年当たりからよく耳にしたものの正直一発屋風情がしていたのも事実。
が、フルアルバムを通して聞くと多様な音楽的要素をふんだんに持っていることがよくわかりました。
簡単に言うと捨て曲がありません。
どの曲も秀逸だしEDMの枠に囚われず名前通り「POP」を追求する内容となっています。
EDM枠はAviciiにするか迷ったのですが今後の可能性をとても感じたためこちらに。
【6枚目】Pet Shop Boys「Electric」
YouTubeリンク:Pet Shop Boys – Axis
大御所の新譜です。
しかし過去の栄光にしがみつくトラックメイキングではありません。
やはり彼らもボトムのサウンドをしっかりと今の時代に照準を合わせてきています。
ボトムさえ作り込めば上物はある程度融通が利いてしまう良い例ですね。
最新のボトムに彼らの優しい歌声と80’sな上物が絡まるという最高の出来。
New Wave meets EDMといったところでしょうか。
【7枚目】Chick Corea「The Vigil」
YouTubeリンク:CHICK COREA – GALAXY 32 STAR 4
またもや大御所、文句なしの出来!
全編に渡ってスリリングで録り音が非常に良いのが印象的。
何度も録り直すロック&ポップスとはレコーディングの概念が全く異なります。
若手を多く揃えたラインナップでベースには最近話題のアドリアン・フェロー。
チャールス・アルトゥラの出場頻度が多くギター出身の作曲家としては馴染み易かったのもあります。
またゲストにはスタンリー・クラーク等往年の人選もあり。
【8枚目】Nine Inch Nails「Hesitation Marks」
Nine Inch Nails – Hesitation Marks
YouTubeリンク:Nine Inch Nails – Copy of A
彼らが最近の音楽を踏まえて作品を作るとこうなるのか!と唸る一枚。
90年代に流行った陰鬱な雰囲気を出しつつしっかりと現代のサウンドに仕上げています。
トラックも非常にタイトで近年の王道なサウンド作りとは一線を画す手法。
何より音数が少ないことが印象的です。
本当にトラックメイキングのスキルがある人の音数の少ない完成度の高いトラックですね。
彼らもまた「現役」であることを再確認したアルバムです。
【9枚目】Jamie Lidell「Jamie Lidell」
YouTubeリンク:Jamie Lidell – I’m Selfish
ホワン・アトキンスか!?というのが最初の感想でした。
随所に散りばめられるデトロイトテクノの手法とサウンド。
でもこれが歌メロのPOPさで見事に現代的なアプローチに昇華できているんですね。
トラックをバンドサウンドに挿げ替えてみたらMaroon5のようになりますね。
今っぽいPOPさの鍵はこの辺に隠れていそうです。
【10枚目】Jose James「No Beginning No End」
Jose James – No Beginning No End
YouTubeリンク:José James – It’s All Over Your Body
昔のエリカ・バドゥとビル・ウィザースが合体したような感じ!
こういうのが好きな人には堪らないんではないでしょうか。
各トラックの隙間を活かした 楽曲の構成方法は、
リスナーからすれば手抜き(?)に聞こえるかもしれませんが、
少ない材料で良い曲たらしめることこそ作曲家の腕の見せどころでありますので、
このDTM時代に一石を投じるアンチテーゼとして非常に目立つ作品でした。
終わりに
やはり2013年も音楽はしっかり進化していました。
音楽はもう終わった、最近の若者は、なんていう人は総じて新しい音源を掘っていませんので、
いくら過去に大きな名声があろうと音楽家としてはもう終わった人です。
作曲やDTMをする人であればこうした感覚の更新はとても重要なもので、
日々沢山のインプットを受け取り自身の作品に反映させることで自然と「今」の曲が作曲できるようになります。
好き嫌いを抜きに360度、世界中の音楽的手法に絶えずアンテナを張り巡らせましょう!